“e-flat”BLOG


 

e-flat 東平です

 

 この3月の上旬に、某大学別科(邦楽科長唄)を受験しました。きっかけは、歌舞伎座に出られている杵勝会 (※1) の交わりの中で、起業された先輩方や師匠の勧めもあり、「それなら挑戦してみようか」と決めました。受験は、別科にある邦楽科長唄で、長唄 (※2) は以前よりお稽古で指導いただいていますが、受験では長唄と三味線が実技試験になっていました。三味線は・・・はじめて、でした。

 

 

※1 -杵勝会 ホームページ https://www.kinekatsu.com/nagauta.html

※2 201911/27 e-flat BLOG https://east-flat.com/index.php/blog/359

 

 

 最近では、某大学出身の演者さんも多く、プロフィールに()「○○大学卒」と書けるだけでもハクがつきます。某大学は、芸能の家に生まれた人、後を継ぐ人、あるいは幼いころから習い事を続けてきた人たちが受験することがほとんどです。

 

 いざ受験の段になって、勧めてくれた門下の人たちからは「本当にやるんですか。」「えっ、本当に受けるとは思いませんでした・・・」と驚きの声。・・・「えっ? のせられた!?」と思いながらも、当時「その受験の大変さ」には気づけませんでした。

 昨年10月から今年3月まで、短期間で経営の傍ら受験に向けた猛特訓の日々を過ごすことになります。受験を進めてくださった師匠やほかの師匠方も「そこまで決心したのなら」と時間を作ってくださり、短期集中特訓の日々がはじまりました。

 長唄に加え三味線が入ります。とくに三味線は週2-3回独学で練習しつつ、自宅で毎日遅くまで復習しながら、昼間はお稽古をつけていただき、受験の前は毎日特訓でした。

 

 

 結果は、残念ながら合格には至りませんでした。とくに、三味線はもう一回弾き直したいくらいでした。やはり、三味線は難しかった・・

 

 受験を終えてみて、あらためて邦楽としての長唄の奥深さについて見つめ直すことができたように思います。私が舞台で唄う技法にも少し変化がでてきました。周りからも以前と比べてよくなったとの誉め言葉も頂戴するようになった気がします

 

 

 自分でも少し視野が広がった感じで、ひとつ階段をのぼったような気分です。今までは人並外れた声量とブレス(息継ぎ)で邁進してきたけれども、あらためて基本の大切さを実感しています。長唄と三味線の調子の合わせ方、間合いの取り方、周囲の演者の所作にも心配りしながら演目を唄う技量を身に着けていきたいと思うようになりました。

 

 舞台や会で長唄を披露する曲は、たて唄とたて三味線の掛け合いだけではなく、周りの唄い手や演者の総意 (気持ちの息がひとつに合うこと) が極めて大切なものとなります。一曲の演目を総勢何十人で披露する場面ともなれば、舞台自体は壮観に映りますが、それは一糸乱れない演者の張りつめた緊張と呼吸に支えられているものだと感じています。

 

 一見、長唄で学んでいることと仕事とは別々の事がらのように思いますが、自分たちの仕事のとらえ方にも通じるものがあると思っています。

 お客様からのお問い合わせや施設のメンテナンスなど、さまざまな仕事の場面で一人ひとりが担当する仕事の範囲だけを考えていると、決して均一な仕事の仕上がり方にはなりません。場合によっては、周囲の関係者との連携も取りにくくなり、業務の質にバラツキが生じ、最終的にはお客様に対して満足いただける、あるいは喜んでいただける結果を残せません。

 

 

 舞台や発表会で披露する長唄のように、「自分が唄う」ことだけ考える目線から、一歩引いて演目の曲を総勢で唄う、言い換えれば阿吽の呼吸=皆が互いに呼吸を合わせて調子をとる「間の力」を尊重すること、これが本当のワンチームということになるのでしょう。

 部門で取り組む仕事も、e-flatグループ全体で取り組む事業も、まさに周囲との関わり合い方が必要であり、信頼が生み出すタイミングとスピード感でもっと勝負していかなくてはなりません。

 

 私の受験は、いつものチャレンジの一つです。チャレンジにはタイミングというものがあります。「後でやろう」は、何もしないのと同じです。前を向いて、まずやってみること。損得や躊躇もいりません。失敗を恐れてはチャレンジができません

 

 

 逆に、失敗やチャレンジから学ぶこと、気づくことはたくさんあります。私の受験も、結果的に長唄の視野を広げる機会(チャンス)を得ることになりました。合いの手と同じように「空間 (から)という三味線と長唄の呼吸をあわせる技量の深さを、このタイミングで振り返ることができたわけです。

 

 社員一人ひとりが、仕事にまたプライベートに、いつもチャンスを手にするチャレンジャーであってほしいと願っています。

 

 

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